「集客アップ」のカギは競争戦略にあり

「戦略」というのは実に使い勝手が良い言葉です。皆さんもさまざまなビジネスシーンで、戦略という言葉を見たり聞いたり使ったりしていると思います。ただし、吸収力があるというか、入れようと思えば何でも入ってしまう言葉であるだけに、戦略という言葉のイメージや定義は人によってさまざまでしょう。「日常の業務を超えた大局的な何か」として戦略を捉えている人もいるでしょうし、「短期的な目先の対応ではなくて、長期的な指針」と時間軸で戦略を考える人もいるでしょう。教科書的な定義では、「組織がその目的を達成する方法を示すような、資源展開と環境との相互作用の基本的パターン」とか書いてあるのですが、これではちょっとわかりにくい。いずれにせよ、「戦略が良くない」とか「もっと戦略的にやりましょう」という時に、何が良くないと言っているのか、どうしようと言っているのか、ご自分の定義を思い浮かべてみてください。
例えば、その辺を歩いているとき、「すいません、あなたの施設の集客戦略は何ですか?」と聞かれたらどのように答えますか?もちろん現実にこのような人がいたら、かなり怪しいので警戒してしまうのですが、ここでお聞きしたいことは、自社の集客戦略を何もしらない新卒メンバー、新人メンバーにどのように説明するか、という事です。その答えに、集客担当者の方の集客戦略についての暗黙の定義があるはずです。
「あなたの施設はどんな会場ですか?」という質問であれば、答えは簡単です。立地はどこで、MAX何名まで収容できて、バンケットがいくつで、年間施行組数がどれくらいで…というようにいくつも答えが出てくるでしょう。ところが、「あなたの施設の集客戦略は?」となると、話が少し変わってきます。答えにまごついてしまう人も多いのではないでしょうか?
「違いをつくる」、一言でいうとこれが戦略の本質です。この定義は、競合他社との違いを意味しています。競争の中でエリア平均水準以上の集客数をあげることが出来るとしたら、それは競争他社との何らかの「違い」があるからです。他社との違いがなければ、経済学の想定する「完全競争」となり、余剰集客数はゼロになります。だから、違いをつくる。これが集客戦略の第一の本質です。
カスタマーの来館プロセスを追ってみると、ゼクシィを買って読む、ゼクシィネットや自社HP、その他結婚情報WEB媒体を見比べ訪問したい会場を絞り込む、来館予約をし訪問する…という流れが想定できます。我々が集客業務を請け負う際のポイントは、このカスタマーの来館導線の中で、クライアント施設がある同エリア内の競合他社との「違い」を作るという事です。ゼクシィ紙面レイアウト、紙面で使うキラーカット、ブライダルフェア名、フォトギャラリーで使用する写真素材等、カスタマーが比較する対象になるものすべてにおいて、違いを作る事が大切になるのです。
ここで注意する切り口は、「違い」には2種類の違いがあるということです。まず一つ目は「程度の違い」。二つ目は「ポジショニングの違い」です。ただ、更新やフェア造成、入力作業をすれば良いというのでは、集客には結び付きません。なぜなら競合他社も同じ作業をしているからです。そこには、その作業をするオペレーションや内容のクオリティの差が求められます。どのくらいの頻度で、どのようなネーミングで、どのような内容で、どのような読み物で、どのようなキャッチコピーで、入力・更新作業が行われているのか。これが、一つ目の「程度の違い」にあたります。既存のWEB媒体での集客においては、競合他社と「程度の違い」を作る事こそ、集客数UPへのカギになります。

需要と供給のバランスが崩れ、過当競争な状態にあるブライダル業界。その時代を勝ちぬく為にも、正しい戦略と正しい戦術をもち、日々実行していくことでしか、明るい未来を築くことは出来ないのではないでしょうか。